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2004年10月 親から子へ 〜虐待の連鎖〜

連日のように虐待のニュースが報道されています。
親の子に対する虐待、非常に哀しく辛いニュースではありますが、不幸なのは子供だけではなく親であるかもしれないと感じることがあります。

虐待は連鎖すると言われています。つまり、虐待を行う親は幼い頃に虐待を受けた経験があるということです。しかしながら、私達の幼少時と現代の子供を取り巻く環境、そして親を取り巻く環境を考えると全く異なっていることに気付きます。
連鎖とは身体的なものとは必ずしも言い切れないと私は感じます。それは、精神的なものにも影響しているということです。

私は成人した後に「親から愛されていない」と感じていたことがありました。私はただの親の「すり替え」であり、親の希望を背負わされた「人形」だったのだということに気付きました。幼い頃、親の愛を得るためにまるで親のあやつり人形のように行動していたのです。そして私はそれを無意識に行っていました。
私は全てにおいて「あの人達は(限定するならば母親となりますが)私を本当に愛してはいない。」と感じ、親の何もかもを否定してきました。
しかしまた気付いたのです。私は「親に愛されていた。そして今もなお愛されている。」と。それは数年の確執の時を経て得たゆるぎない確信でした。

私達の親の世代・・・・・。
それは戦後の貧しい時代から高度成長期へと日本が向かっていった時期です。日本の典型的な家庭像、「父親不在」であり「会社への忠義」が残り、多くの母親は家庭に入っていました。今ほど女性の社会進出は多くはなく、多くの家庭で「母親の役割=子育て」につながっていました。その母親が育ってきた環境、つまり、母親の幼少時、それは戦前、戦時中を駆け抜けた祖父母の生き様が色濃く反映されています。

祖父母の時代・・・・・。
日本が世界の渦に巻き込まれた時代。私達の親が幼少の頃、親(つまり私達の祖父母)から「私は愛されている」というメッセージを受け取っていたのでしょうか。
祖父母の時代をもっとさかのぼるとどうでしょうか。日本人独特の「無言で伝わる家族愛」、抱きしめることなく見つめる母、無言で見守る父、そんな家庭像が浮かび上がります。
祖父母は・・・・・・。
私達の親は・・・・・。
そうして子供への「愛」を紡いできたのです。

私達の親の時代には流れは急速に変化します。西洋化の大きな波、様々な生活様式の変化、物資の増加、その中で親は「子供に対する愛」を少しずつ歪めてしまったのではないか、そう考えられます。
つまり・・・・・。
私達の親は子供を愛しているにも関らず「本当の愛し方」、「愛の伝え方」を見失ってしまったのです。私は母親が孤独な幼少期を過ごし、愛し方がわからなかったのだということに気付いたのです。「愛されている」ということ(それは祖父母に)を頭では理解していても本当の意味ではそれを感じ取れなかったのかもしれません。それでも愛されていると思い、信じつづけて生きてきた、その結果・・・・・、自分の子供、つまり私への「愛し方」が時代の流れと共にわからなくなってしまったのではないでしょうか。

母親は私を愛していなかったのではなく、愛し方がわからなかった、それだけのことだったのです。

虐待の連鎖は身体的なものにとどまらず精神的なものにも結びついていると感じるのは「愛し方がわからない」親に「愛されてきた」子供が成人し、やはり「愛し方がわからない」親になってしまった。そう思うからなのです。

今ならわかります。
不幸なのは私だけではなかった、母親だったのだと。

時代は更に移り変わり、日本は多くの物を手に入れ、バブル、そして崩壊を迎えました。その後のリスクははるかに大きく、私達の世代は大きな変遷を遂げ、「虐待を生む要素」はどんどんと変化してしまいました。「愛し方がわからない親」は増加し、虐待と言わずとしても孤独な子供達が増えてきているようです。

虐待の連鎖が「心」へも大きく影響しているということは、つまり「愛され方」に原因があるのではないでしょうか。

では、その連鎖を食い止める方法は何なのでしょうか?
私はそれはそれぞれの家族ごとに異なると思います。が、ただ一つ共通して言えることは「愛し方がわからない」ということに自分自身が気付くことなのです。そこからどのように愛したら良いかという糸口を、自分の過去、そして親の過去を紐解きながら見出していくことなのです。
豊富な物資や取り繕った言葉では子供の心には響きません。真の愛は子供には伝わりません。私達皆が「子供を愛している」と、そしてこれから日本の未来を担う財産として「子供を孤独にさせてはいけない」、そう考え、そして行動に移さなければいけないのではないでしょうか。

虐待の連鎖、それは今、この瞬間にも起こっているはずです。それを食い止めることが出来るのは私達自信であり、私達の「心」の問題に大きく左右されているのです。

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