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2003年5月 chain

「こんな経験をしたら人間はどうなってしまうのでしょう。」
イラクで3人の子供を一度に亡くした男性はそう言っていました。幼い少女は脳みそが飛び出たままの状態で倒れていたといいます。その男性はそれを自分の手で元に戻し、包帯を巻き、病院に運びました。少女はしばらくの間、息がありましたが、そのまま何の手当ても受けられないまま亡くなりました。

ゆりかごを揺らして、涙を流しながら「baby! baby!」と叫ぶ男性の姿が映し出されました。
そこに生まれて間もない赤ちゃんがいたことは、血だらけのゆりかごとその男性の怒りに満ちた表情を見ればわかります。

手や足を失った人、視力を失った人、親を亡くした子供、子供を亡くした親、多くの哀しみに満ちた人々の映像が次から次へと映し出されました。
自分の中に沸いてくるこの怒りは、一体どこにぶつけたら良いのか・・・私にはわかりません。

何のための「戦争」だったのか。
誰のための「解放」だったのか。
確かに、独裁政権から解き放たれた人々は、今後、今までより幸福な道を少しずつでも辿っていくことでしょう。しかし、この多くの哀しみは、どこへ流れていくのでしょうか。どこに辿り着くのでしょうか。

「憎しみの連鎖」という言葉が頭から離れません。
感情は必ずと言っていいほど「連鎖」し続けます。その鎖を断ち切るには、ほんの少しの間、思考回路を停止させることです。一度、自分を客観視することです。自分自身を遠くから判断することです。
その時やっと・・・「連鎖」の封印が解かれると私は思います。

21世紀、最初の戦争となった「イラク戦争」。
私達が何かを学ぶとしたら、この「連鎖」をどう食い止めるか、ということではないでしょうか。哀しみに満ち溢れた世界を、どのように変えていくことが出来るか、ということではないでしょうか。

あまりにも辛くむごい「連鎖」が起きないことを私は祈ります。もしも同じ「連鎖」ならば、「幸福の連鎖」が常に訪れるようであって欲しい、そう強く思います。

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