2001年3月 ITでe日本!?〜Part3〜
以前、仕事で某公共団体のいわゆる「IT推進事業」に関わったことがあります。ある地方自治体なのですが、今まではなかったインターネットを敷設し、ホームページを立ち上げる、各窓口にタッチパネル式の機器を設置し、家にパソコンが無い人でもホームページを見ることが出来る、そういった大がかりな事業でした。もちろんその名目は、一般の人のため、子供からお年寄りまでみんなのため、でした。今まで窓口で配布していた用紙を、ホームページからダウンロードさせる、その土地のエライ人の資産を公表し「情報公開」をはかる、双方向に意見をやり取りすることが出来るインターネット上の会議室を設ける、様々な工夫がこらされていました。ただ、失礼を承知であえて言うとすると、それは「公」の人の自己満足に過ぎないのではないか、と私は感じていました。
その地域の人口の割合から言っても、そのホームページの内容が必要になるのは、どちらかと言うと高齢者なんですね。今まではもちろん、「小冊子」や「回覧板」のようなものでその大事な情報を入手してきました。そこで、「さぁ、ホームページが出来ました。皆さん利用して下さい。」そう言われて、その人達はどうすれば良いのでしょう。タッチパネル式の簡単な機械でホームページを見ることも出来ます、と言われても、、、結局、窓口まで出向いているんですよね。それよりも何よりも、はたしてそのタッチパネルに気付いてもらえることがあるのかどか、それも心配です。もちろん、その事業自体が悪いとは思ってはいませんが、もう少し別の角度から考えることも出来たのではないか、そんな気がします。
私は横浜に住んでいます。ホームページはしっかりしていて、必要な情報はそこから入手出来るのでとても便利だと思います。でも、結局は、窓口が開いている時間にしか書類関係は提出出来ない、入手出来ない、問い合わせの電話も窓口の時間内です。やはり、インターネットにも「利便」と「不便」、「長所」と「短所」があります。それをはき違えて、全てが良い方向に進むと考えてはならないと思います。インターネットは全能ではありません。それがあればみんなが喜ぶ、そういうことでもないのです。それどころか、常日頃から、マスコミなどで過剰とも言える「IT」に関する報道がなされ、「ITって?」と首を傾げながら、自分たちは置き去りになっていく・・・そう感じる高齢者の人達の方が少なくないと思います。これはいわゆる「デジタルデバイド」へともつながっていくのです。
そう言えば、先日のあるニュースで、日本で一番権威のある方が、辞職をするかしないかという会議の席で、「私にはまだやり残していることがある。」という話をされていました。その一つに「IT事業の推進」があったわけですが・・・いやいや、つい最近まで、実際「IT」が何であるかも知らなかったあなたには推進して欲しくない、そう思いましたが・・・きっとそう思っていたのは私だけではないでしょうね。それから、国や公に携わる方というのは、「IT」のプラスになる面しか強調していませんね。その危険性や、無人(正しく言うと匿名でしょうか。)であるが故の心ないやり取りなどといったマイナスの面は、正確に伝わっていないような気がします。これも、本当はもっとそういった立場にある人達が、責任を持って発信するべきなのだと思います。
それにしても、、、「IT」はいろいろなところで見られます。家電や車のように、個人の身の回りがそれらで埋め尽くされてきました。最近は、回転寿司にまで利用されているんですね。画面に表示されている魚(ネタ)に触れると、お寿司が流れてくるんだそうです。どこに行っても、もう「IT」着尽くし、といったところでしょうか。先日、我が家にいらした車の保険会社の方がこう言われていました。保険の契約やその他の手続きも、今後はほぼデジタル化されていきます。でも、私がこうして出向いているのは、やはり人と接することで得られる「安心」を提供しているからです。事故が起こった時、結局、その場に駆けつけるのは人なのですから、と。
「IT革命」を掲げ、21世紀がどんな世の中になっていくのか、ある程度の報道はなされているものの、やはり実際目にしたわけではないので誰にもわかりません。ある意味で少し寂しいような、それでいてどこかワクワクするような、見えない未来に対する不安と期待がたくさんあります。ただ、どんな生活になろうとも、「心」を忘れずに、自分らしい生き方をしていきたい、そんな風に思っています。
ページトップへ↑
|